『じんぐるじゃむっ』イコールじゃなくてフェアだよ⑪(小学館)

Not  Equal but Fair 〜麦城OTのJK時代〜 スピンオフ

★エデュカーレの連載コミックをまとめた、

「保育の世界がまるっとわかる(笑)マンガ『じんぐるじゃむっ』」(版元・小学館)。
そのウエブ付録版、「イコールじゃなくてフェアだよ⑪」story no.51の公開サイトです。

 

 

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※OSKは、California州 CupertinoにあるNPO法人『Organization of Special Needs Families』を参考にしています。
私が参加したのが2007年〜2008年、当時、事務局には、日本人のボランティアスタッフもいました。(おおえだ)

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column
私のアメリカンな経験 

 

10年前のことですが

 

 以前から、障害のある子の育児、保育について、高い関心をもってきました。
(きっかけは、私自身がかなりADHD的なパーソナリティであるがゆえなんですが…)
そういうこともあって、10年近く前、カリフォルニアのカレッジで、
障害児保育を学ぶ機会を得ました。

 カリフォルニアは、アメリカ中で最も障害者への支援が手厚いと言われる州。
そして、研究も進んでいる。
「きっと最先端の知識が学べるに違いない!」と期待し、
さび付いた英語力にネジを巻きつつ参加しました。
 その授業の中で、もっともインパクトがあったのが、障害児施設でのボランティアと、
大学内のチャイルドケアセンターの見学です。
 ボランティアのほうは、だいたい『麦城OTのJK(女子高校生)時代』で触れたとおりで、プログラムは素人が手伝うことを前提に、非常に単純化(マニュアル化)されていました。そこは、アメリカらしいなあと思った一面です。

 

合理的でも感情は同じ

 

 チャイルドケアセンターでも、「なんてアメリカン…」という経験をしています。
 クラスの先生が、発達障害のある子とない子を2人呼び寄せ、同じことをやってもらう。
 そして、「発達障害があるAくんには、これができない」というのをやってみせて(?)
もらうんです。
 たとえばAくんは、赤白赤白と2色のブロックを交互につなげることはできるが、
赤白黄色の3色になると赤白黄、赤白黄と、順番に並べてつなげられない…とか。
 そして見学中の学生に、「これが発達障害なの」と教えるんです。
 おそらくは、現場の保育者が早期発見のための知識として持っておくために。
 (実際、日本ではこの授業は、ちょっとあり得ないなと思いました)。

 アメリカでは、障害があると診断を受けると、さまざまな支援を無料で受けることができます。
 ADA(障害を持つアメリカ人法・1990年)によって、障害者の権利が強固に守られていて、
たとえば、車いすを使う子どもが園に来て、
「車いすが使えるようにトイレや階段などの設備を作り変えてほしい」と訴えたとき、
それを施設側は断ることができない、と決められています。断ったら、あっさり、訴えられます。
 発達障害のケースでは、アシスタント(加配)の設置を──専門性の高さは別として──
請求することができる。当然の権利として。
 だから、親も幼児期から障害の診断を受けることに日本ほど、後ろ向きではありません。
 とても合理的なんですね。
 ただし、親が障害を楽天的にとらえられているかと言えば、けっしてそうではない。
 日本より周囲に多様性を認める空気があっても、日々のストレス、将来への不安は、
ほとんど変わらないレベルで抱えている。
 授業中に見たDVDや、ボランティア先で会った保護者の話(本当にごく一部ですが)に
触れるにつけ、親の気持ちに国境は全くないんだって感じました。
 まあ、当たり前のことなんですけどね。


以上をもちまして、じんぐるじゃむっweb公開版「イコールじゃなくてフェアだよ①〜⑪」
自称「春樹シリーズ」は、完。
長らくのお付き合い、ありがとうございました! 


大枝桂子  (2016 .10.3)









 

 

 

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