アーカイブ ‘ 2014年 10月26日

プロダクトアートとプロセスアート

 お絵かきや、造形遊びをするとき。

先生がモデルを示して、
「これと同じように作ってみようね」というケースと、
材料だけ渡して、
「これを使って、自由にやっていいよ」というケースがあったとして。

前者を「プロジェクトアート」(プロダクトアート)
後者を「プロセスアート」と呼ぶと、
一般(財)インターナショナル幼児教育協会の認定コース・アートクラスで
アメリカで幼児教育の修士号を取っているフローラ・上野先生から教えていただきました。

 

それで、先日、某大学の先生からのお誘いで、
「海外の保育」というお題をもらい、大学の1年生の前で
そのアートの話も含めて紹介しました。

(その大学のレクのときは、「プロジェクトアート」ではなく、
「プロダクトアート」という言葉をチョイス。
レッジョエミリアなどの「プロジェクトアプローチ」という言葉と混乱しそうだったから)。

 

レクでは、
「プロダクトアート」=完成品が決まっている活動(英語で言うと close-ended)
「プロセスアート」=プロセスの中で、自分でこれが完成と決められる活動(英語で言うと open-ended)
と定義して説明。

また、下の図を提示して、
A 左の花の絵と同じに描く活動と、
B 右のようないろんなパーツを使ってなんでもいいから
描いてみるという活動とでは、育つ力にどんな違いが出ると思う? 

と、実際にワークをやってみて、そんな質問をしてみると、

      A            B

プロダクトアートとプロセスアート

Aは観察力が、Bは創造力が育つ、などの回答がでていました。
すばらしい。

では、どっちが頭を使ったなーと思った?という質問には、
Aと答えた学生さんが、たしか1人。
(その学生さんは、パーツを選択したり、創造することになんのストレスも感じない
卓抜した能力をもっているにちがいない!)

通常はBだと思うのですが、もし、より子どもたちに考えるチャンスをと思うなら、
保育でそういう機会を増やしていけるといいよね、と(現場経験もないくせに偉そうに)語る私。

これらの話につなげて、メインの、
フランスの国立幼小一貫校・「フレネ学校」では一切、プロダクトアート&一斉指導は
(小学生のクラスでも)行っていないことを写真もみせてつつ紹介しました。

「選ぶ」という行為自体、頭をつかうわけで、
「はい、これで遊びますよ」ではなくて、
赤ちゃんの時から、選べる環境、かかわりをしたいね、という話もさせてもらった。

 

ほとんど、配布物には画像ばかりで文章を載せていなかったのに、
学生さんからもらった感想文には、私が話したことがびっちり。
ああ、聞いててくれてありがとうございました。
プロダクトアートも観察力や、集中力、器用さの向上、
人と比べて自分がどのくらい能力があるのか、ないのかがわかる(!?)などの
利点もある。
でも、そちらへの比重過多になるのは好ましくないと学生さんも受け取ってくれたようで、

ほとんど一方的に話すレクをしている自分に矛盾も感じつつ、
高い集中力で参加してくれた学生さんに感謝! してます。


(エデュカーレ編集員 大枝)

 

return top