アーカイブ ‘ 2013年 12月14日

【発達の最近接領域】にいる、さっちゃんと夏みかんの関係

発達の最近接領域とスキャフォールディング

エデュカーレ39号のコミック『じんぐるじゃむっ 第26話』で
【発達の最近接領域】と、スキャフォールディング(scaffolding)について触れました。

★2016年10月3日追記 
2016年8月30日発売になった『じんぐるじゃむっ』とリンクして、
その26話を本ブログで公開しています。以下のURLを参照してください!
 http://ikuji-hoiku.net/educare_wp/staffblog/1575.html

  

この間、東京の認証保育園、ウッディキッズに取材に行ったとき、
園長の溝口さんが言ってたんですが、
「海外の園を視察すると、ふつーの保育者がふつーの会話の中で、
【発達の最近接領域】って言葉をビシバシ使っててね。
なんか、プロって感じがしてかっこいいんですよねえ」。

なぜ、日本の保育者さんはほとんど使わないのかというと、
溝口さん曰く、
「養成校でちゃんと教えないから、知らない人が多いんじゃないですか?」

なるほどー? そしたら僭越ながら、
(『じんぐるじゃむっ 第26話』をそのままここに掲載するわけにもいかないので)
そのマンガの前身とも言うべき〝独学メモ〟を少々手直しして、
掲載しておきたいと思います。

 

──独学メモ──

【発達の最近接領域】にいる、さっちゃんと夏みかんの関係

 

ここにミカンがあります。 
ふつうの、1袋に8個くらい入ってて、498円ていう種類のミカン。 
このミカンの皮を、さっちゃんは自分で上手にむくことができます。 
このように自分でできる発達の到達レベルを「完成した水準」などと言います。 
レタスをはぐとか、もっと簡単なことを含めて、 
さっちゃんのできることの領域が、下図のオレンジの部分。

発達の最近接領域

ところが、夏みかんはダメ。 
皮が固いので、さっちゃんは自分でむけません。 
この段階はまだ未完成の領域です。(水色の部分) 

でも、私がナイフで切り込みを入れてあげると、 
さっちゃんでも夏みかんをむくことができる。 
それが「可能的水準」。(ピンクの部分)

 そしてこの、「完成した水準」以上で「可能的水準」以下の、 
「何らかの援助があるとやり遂げることができる」範囲を、 
【発達の最近接領域】と呼ぶと。 
ヴィゴツキーという心理学者が決めました。 

 

切れ込みが入ったとは言え、
大きくてごつい夏みかんをむくには、
まだちっちゃいさっちゃんには、たやすいことではない。
それでも、果敢に夏みかんに挑むさっちゃん!

しかし、そのことによってさっちゃんはちょっぴり器用になったり、
むき方のコツが少し分かったり、むき終わった後、達成感を味わって自信をつけたりする。
こうやって、【発達の最近接領域】の中で、
さっちゃんは発達していくわけです。

 

汐見稔幸編集長は以前よく、
「子どもは、ちょっと背伸びをすることで成長するものだ」と言っていたけれど 、
おとながその【発達の最近接領域】を意識して、
そのちょっとの背伸びを助けることが、
子どもの発達を〝いい具合に促す〟、ということなのだと思います。 

 

逆に言えば! 
完成した水準のふつうのミカンをむいてあげるのは過保護。 
まだ及ばない水準の、丸マンマの夏みかんをポイッと渡すのは 
放任になるかもしれないですよね?

 

発達の最近接領域と、過保護・放任の関係

 

ところで、大人が【発達の最近接領域】を考えるとき、 
「このくらいかなー」という推察でヘルプを出すことになります。 
しかし、子どもは同じ【発達の最近接領域】にいる友達と遊ぶことが多く、 
その友達の言動から、自然とヘルプを見つけることが多くある。 

たとえば、 

ある時、さっちゃんはアキラ君と、テーブルの上の夏ミカンを発見! 
ふたりは懸命に爪を立てるけど、どうにもフツウのミカンのようにはいかない。 
そこでアキラ君、思わず夏みかんにかじりつく。 
すると、亀裂ができてそこから皮をむくことに成功する!

 

大人が切り込みを入れた夏みかんをむいた場合と、 
友達のまねをして、かじりついてむいた場合と。 
これらはともに発達の最近接領域での出来事です。 
確かに、いずれも場合もさっちゃんはヘルプを得て目的を達成したのだけど、 
友達からの影響で達成した方が、きっとインパクトが大きいはず!
そこにこそ、集団生活の意味があるって事なんだと思います。

発達の最近接領域と友達

 

※ちなみに、スキャフォールディングというのは「足場」という意味で、
そのままでは子どもが届かないレベルの活動に、
ちょっと足場を組んで、過不足なく、届くレベルにしてあげる〝ヘルプ=支援〟のことです。
海外では、【発達の最近接領域】とよくセットで語られるようですよ。

ああ、長くなってしまいました。
そのうちまた、〝独学メモ〟アップします。(^^;)
読んでくれてありがとう。
それじゃ、また!

 

★2016年10月3日追記 
2016年8月30日発売になった『じんぐるじゃむっ』とリンクして、
その26話を本ブログで公開しています。以下のURLを参照してください!
 http://ikuji-hoiku.net/educare_wp/staffblog/1575.html

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

icon59

 

 

 

return top